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    ■47■ Dr.景流 着物の管理 【1、着用後の乾燥?】

    • 2011.05.24 Tuesday
    • 21:08
    JUGEMテーマ:着物 きもの


     着物の管理で一般常識といわれている中には、
    私からすれば「ちょっと違うのではないか?」というものがあります。

     私が潔癖性なのかもしれませんが、
    職業として長年着物の直しや管理に関わってきた結果、
    それは明らかな違いとして確信しています。

     着物を少しでも長持ちさせるには、
    繊維やシミの性質を今一度考え直していただく必要があるのではと改めて思います。


     今回は私流の着物管理についてお話しましょう。


    「着用後はハンガーにかけて十分乾燥させてから仕舞いましょう」

     さて、
    本当にこれでよいのでしょうか?


     今日はこれについて考えてみましょう。

     これは「湿気を含んだまま、仕舞い込まないように」という意味なのでしょうが、
    鵜呑みにするのはちょっと危険です。


     例えば汗染み。

     着物を着用すれば多少なりとも汗染みが付くとお考えください。
     汗により脇(両胸)や背中(帯下)が濡れることは多々あります。
     また額や首筋から流れた汗は衿を汚してしまうのは当然のことですね。

    乾いてしまえば分かりにくくなるところに汗染みの落とし穴があるのです。

     汗をかいたという自覚がなくても
    汗は体内から常に発汗され着物に徐々に浸み込んでいき、そのまま残ってしまいます。


     衣類とはそのようなものなのです。
    汗をそのまま放置すれば将来変色してくる事は今まで何度も話してきました。
    そのまま乾燥して仕舞ってしまうなんて、私からすれはとんでもないことなのです。


     実は、私は昔から人一倍汗かき。
    そのため衣類の汗染みに関してはより神経質になっているのかもしれません。

     身に着けたものは毎日着替え、水で洗うのが理想です。
    しかし着物はそうはいきませんね。また洋服の重衣料などもそうです。

     私は普段、ジャケットやスーツを着ないのですが、
    たまの着用後には必ず脇の汗染みを水で処理します。
    冬場の寒い時期でも脇は汗で濡れます。若い頃はこの体質を恨んだものです。

     夜遅く酔って帰宅しても、部屋に入らずにまず工房でシミの点検と汗抜き作業を済ませます。
    それから初めてハンガーにかけて乾燥、保管です。


     そのまま放置し、時間が経ってすっかり乾燥してからでは、汗染み抜きの作業効率は落ちます
    これは皆さんの着物についても同様です。

     理想は着用の度にプロによるシミ(汗染みを含む)の点検と処理ができればよいのですが、
    現実的にそうはいきません。

     沢山汗をかいたと思われる時はそのまま乾燥や放置はしないで、
    なるべく早めに専門業者に依頼をしましょう。




     次回は「■48■ Dr.景流 着物の管理 【2、虫干しは必要?】」です。
    お楽しみに!

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    ■46■ 訳あり商品の見分け方(9) 【未仕立て品 <5:緑青(ろくしょう)>】

    • 2011.05.16 Monday
    • 22:30
    JUGEMテーマ:着物 きもの


     さて「訳あり商品の見分け方シリーズ」今回が最後となりました。
    小夏さんいかがでしたか、このシリーズ。



     訳あり商品も確認すべきチェックポイントを押さえておけば
    失敗することなく、お得にお買い物できるわけですね。
    このチェックポイントを、お直しのプロから教えていただければ怖いものなし?(笑)
    そのようなトラブルの着物たちを、長年見続けてきた先生から教えていただけるのは心強いです。
    この成果を試せる日が楽しみですね。



     今回は以前にも取り上げた「緑青」についてです。
    内容が重複しますので、詳しくは
    「■17■ 緑青(ろくしょう)」こちらを見てくださいね。

     緑青は着物に使う金彩に発生した青緑色の錆のことです。
    せっかくの美しい金彩がこの緑青によって台無しになることが多々あり、
    和装業界では問題の一つになっています。
     訳あり商品をお求めになる場合、
    新しいものなのか古いものなのかは、この緑青の程度でも判明します。

     緑青は最初綺麗な緑色に変色します。
    原因がベンジン用ソープの残留なら、
    この初期段階では溶解力の強い溶剤での洗浄で落ちてしまうことがあります。
     変色は年月とともに茶色に変色し、やがては黒くなります。



     あ!そういえば。
    新品の商品でしたが箔が黒ずんでいるものを仕立てに預かったことがあります。
    金の残っているものと交じり合っていましたので、
    購入された方は、初めからそのような色と認識されていたかもしれませんね・・・。
     耳が黄色く変色していましたから、作られてから長く置かれた商品だったのでしょう。
    お店の方は古いものであることは分かっていらっしゃると思いますが、
    箔の変色には気付いていらっしゃったかしら?



     売る側は当然分かっているでしょう。プロなのですから。
    多分ベンジン洗いでのソープの残留が原因ですね。
    すでに変色しているところからしてかなり古い物なのでしょう。

     変色が進むと洗い落とすことは不可能です。
    茶色に変色した時点で生地の劣化が見られ、摩擦で破ける可能性があります。
    単にシミだと思ってご家庭でベンジンを使ってのブラッシングは大変危険なことです。
     我々の作業での事ですが、上手くいけば漂白という手段で分からなくなる場合があります。

     購入はこれらのことを十分わきまえた上で決断してくださいね。


     アンティークでは金彩部分が緑青段階を通り越し真っ黒に変色したものがよく見られます。
    ファンにとっては、これらの変色や退色なども魅力として目に映っていることもあるのでしょうね。


     そうですね。
    変色で本来の色が褪せたり沈んだ色合いになっていたり、
    アンティークはそのくすんだ色合いがいい雰囲気に感じたりするのですが、
    それがトラブルに繋がっては何にもなりませんね。



     魅力となると人の汗や汚れなども気にならなくなるのでしょうか?
     私は潔癖な性格ですから、衣料に関してはちょっと引いてしまうかもしれません。
    しかし、子供の頃から骨董品が好きで、錆も磨き込むとまた別の魅力を感じるのは理解できます。
     仏像などは黒い方が迫力を感じますね。
    古いものの美しさは時間の経過も相まっているのですね。



     あぁ、そうですよね。
    潔癖な方にとっては古着はあまり気持ちのいいものではないのでしょうね。
     私もあまりシミや汚れのひどい物は遠慮しますが、
    状態のよいものなら多少のことは気にならないです。
    だって、今にはない遊び心や色使いなどそれを越える魅力がありますもん。

     それに、私には先生という心強い味方がいますから!
    (景先生、またお直しよろしくお願いしますねっ。笑)

     それから最後に、緑青は湿気なども原因になると以前教えていただきましたよね。
    着用後はよく乾燥させてから収納するようにすればいいのですね?


     それはそうなのですが…
    う〜ん、それだけではまた別の問題が発生するかもです。


     でも、着用後は乾燥させてから仕舞うのは常識ですよね?
    何か問題でもあるのですか?


     一般常識と言われているもの中には
    私からすれば
    「ちょっと待って!」というものがあります。
    ではこの問題は次回ということにしましょう。



    次回は「■47■ Dr.景流 着物の管理 【1、着用後の乾燥?】」です。
    お楽しみに!
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    ■45■ 訳あり商品の見分け方(8) 【未仕立て品 <4:染ムラ>】

    • 2011.05.09 Monday
    • 22:38
    JUGEMテーマ:着物 きもの


     染め斑(ムラ)とは、染め物が均一に染まっていない状態のことを指します。
    それは模様場であったり無地場であったり様々です。
    模様場のムラは手差し友禅の場合に多く、手作りの味と難との見解が難しいといえます。



     手作りならではの味と難物との見解ですか・・・・。
    これは難しいですよね。個人の感覚にもよるでしょうし。


     そうです。
     手作りの味が分からずクレームをつける方もいれば、
    明らかな失敗作を満足している方もいらっしゃいますね。
     見解とは、作り手側と見る者側とでも異なります。
    つまりは手にしたご本人が心地良いか否かでしょう。



     なるほど。
    「難と分かっていても好きだ」なんてことありますもんね。
    「明らかな難物」でも、手にした方の想いが「味」に変えてしまうこともあるわけですね。
    好きならば「痘痕もえくぼ・・・」でしょうか。(^^)


     さてここで取り上げたいのは、
    一反の反物の中で極端に地色が濃淡に染め上がってしまったものや、
    色目の違うものなどの難物
    のことです。
     これらの難は反物状態では分かりにくく、お仕立て後に初めて発覚することが多いのです。
    つまり本仕立てや仮絵羽など、合い口が合わさる事によって色の違いが見えてくるというものです。


     そうですね。反物の状態で広げてみただけでは、
    明らかな違いがない限り各所の色の違いには気付き難いですよね。
     お預かりした反物でも、裁断のために各所を重ねてみて初めて色の違いに気付くことがあります。
    そういう場合はお店の方も気付いていない場合がありますね。要注意です。
    こういう染めムラはどのような商品に起こりやすいのですか?


     このような染ムラは浸染(焚き染め)ではほとんど起こらず、主に引き染めで発生します。
    原因は様々で、染めの刷毛さばきや、染めるための下地の不手際の場合など。
    さらには乾燥や蒸し(熱処理)の問題など、手作りの奥の深さを痛感させられます。

     これらは色ヤケと混同されることがありますが、
    染めムラには前回お話した展示ヤケのようなパターンはありません。
    ですから反物状態では殆ど見つけにくく、お直しが必要なものについてはお仕立て後になるでしょう。

     仮に反物状態で色違いが発覚した場合、
    仕立てる前までに下直しをしておいた方が良い場合があります。
     それは仕立て上がってからの色合わせのリスクを少なくするためのものです。
     無地染めの場合で、直し代 が高額になる恐れのある時は
    色抜きをして染め直した方が安くつく場合もありますから、業者とよく相談して下さい。

     ガード加工はもちろん仕立て後、問題がないか全てをチェックしてからにしましょう。
    何度も申しましたように、これはガード加工が色掛け作業の妨げになるからです。


     色無地で「染めムラを色抜きをして染め直す」なんて事になったらちょっと悲しいですね。
    お直しするより白生地から思い通りの色に染めてもらった方が気持ちがいいような・・・・?
    そんな思いをしなくていいよう、判断・確認が出来るとよいのですね。




    次回は、「■46■ 訳あり商品の見分け方(9) 【未仕立て品 <5:緑青(ろくしょう)>】」です。
    お楽しみに!

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    ■44■ 訳あり商品の見分け方(7) 【未仕立て品 <3:色ヤケのチェック(仮絵羽編)>】

    • 2011.05.02 Monday
    • 22:19
    JUGEMテーマ:着物 きもの


     今回は訪問着、留袖、振袖などの仮絵羽で売られているものを掘り下げてみましょう。

     仮絵羽類の多くは展示されるため、色ヤケしている確率が非常に高いです。

    たたんだ状態で上前の裾模様を出し、展示されているもの。
    あるいはその上部を表に整理され並べられていたものなど。

     これらのチェックポイントは肩山袖山衿山などの折れ筋です。
    両手の指でつまんで広げて見ると汚れや変色が確認できます。

     また上前身頃おくみなどは、全面に変色の見られることが多くあります
    下前や後ろ身頃と色を比べてみましょう。

     特に身丈を上下半分にたたんだ所の衿下にくる部分と、
    もうその半分(4分の1)にたたんだところの胸の下あたりなどは、
    折り目に沿って横により強く退色が進みやすい箇所です。

     それに左袖付けの前部分もチェックポイントになります。


     柄が見やすいようたたまれて、展示の際表に出ている箇所などは
    長く光に晒されているわけで、ヤケている可能性の高い場所なのですね。


     そういうことです!
    さらに衣桁にかけて長期展示してあったものは、広範囲にわたり退色していることが考えられます。
    この場合の多くは着物の背面全体が退色しているため
    その場では発見しにくいかもしれません。
     しかし、下前の上部(右胸あたり)両内袖(左右の前袖)は退色が進みにくいため
    背面の退色度合いの目安になります。必ず見比べてみましょう


     この場合は柄全体が見渡せるよう衣桁に広げられている分、
    たたんである場合よりも全体にヤケて退色が見つけ難いわけですね。
    比べるべき場所を覚えていれば安心ですね。


     広範囲の変色は仮縫いの中の元色と比べて見なければ分からないことがあるので
    以上のポイントチェックは怠らないようにしましょう。


     仮縫いの糸を解ければ確認しやすいですが、お店の了解がもらえるか・・・ですよね。


     尚、仕立て寸法が仮絵羽の寸法以内であれば、
    脇と裾の折れ筋ヤケは仕立て時に縫い込みに入り、直さずに済みますから
    価格によってはお値打ち品を見つけることができるでしょうね。

     しかし仮絵羽寸法より仕立て寸法の方が広くなる場合は、
    ヤケ直しに高額な料金がかかることがあります
     また合い口の模様が合わなくなったり、柄が切れたりすることもあるため、
    身幅や裄が広くなる場合より注意が必要ですね。


     そうですね。
    柄の合う位置(身幅)というのはだいたい決まっていますから、
    それ以上の寸法になると、柄(袖付や脇)が合わなくなる場合が出てきますよね。
    (極端に細い体型の方も身幅が狭く、柄が縫い込まれてしまって合わなくなる場合がありますが)


     ヤケ直しと同時に合い口の柄合わせも、
    心得のあるお店や業者なら最善の方法で対処してくれます。
    これらも含めて購入前に、十分なご相談と見積もりを依頼することをお薦めします
     


     展示して柄を見せねばならない商品のため、ヤケはどうしてもついて回りますよね。
    展示のリスクをよく理解して、商品を確認していらっしゃるお店なら
    上手く対処していただけそうですね。


     以上の直し加工は仕立て上がってからでも可能ですが、
    まず寸法を指定し仕立てる前に相談してください。
    加工手順は業者に任せましょう。

     ただし、ガード加工は作業効率を落としますから、
    全ての加工が終わってからにしましょう。


     仕立て前に効率よくお直ししていただく為にも、
    ヤケの起こりやすい場所を知って確認するのが大切なのですね。
     ガード加工は直しが終わってからですね。
    お店の方がこのあたりの事をよく理解していらっしゃると、私たち消費者も安心ですね。




    次回は、「■45■ 訳あり商品の見分け方(8)
    未仕立て品 <4:染めムラ>」です。お楽しみに!

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