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    ■14■ 紫外線

    • 2010.08.30 Monday
    • 07:00
    JUGEMテーマ:着物 きもの


      紫外線は染物にとっては大敵です。
    それは退色の第一の原因にあげられるからです。

    前回も話したように、虫干しの際、窓から差し込む太陽光線により
    着物の色が黄色く変色したものがよく見られます。
    ハンガーにかけたまま長期間忘れてしまうのでしょうね。
    その時のシワの形のままで、光にあたったところだけが黄色く変色してしまっているのです。
    蛍光灯も紫外線は出ているので注意が必要です。

    着用時は仕方ないとしても、虫干で光は必要ありません。



     先生、1つ疑問なのですが、紫外線に当たるとどうして黄色くなるのですか?


     難しい質問だね。
    簡単に言うと、紫外線によって紫色の分だけ無くなってしまうのだと解釈してください。
    黄色は紫の反対色。専門的には「補色」といいます。
    紫と黄は補色の関係にあり、紫が無くなればその補色の黄色が残ってしまうのです。


     ほぉ。色彩の理解が必要ですね。
    なんか難しそうですが、興味が出てきました!
    シワの形で黄色く変色したものも直せるのですか?


     基本的には紫外線によって無くなった色目と、その分量を補うことで直ります。
    それが「染色補正」といいう仕事。「染物を正しい色で補う」とあるでしょ!



     ほほぉ〜。
    それで先生の手に掛かれば、魔法のように直ってしまう訳だ!!


     しかし、それも程度の問題です。
    変色がひどかったり、広範囲過ぎたりした場合は直りにも限界があります。
    無地のものなどは解いて染め直した方が結果的に良い場合もありますね。


     あぁ、そうですよね。
    誤って変色させてしまった場合、染め替えるという手もあるわけですね。


     我々の業界ではこのような退色や変色のことを「ヤケ」と呼んでいます。
    このヤケをできるだけ遅らせようと、様々な耐光堅牢度の高い染料の開発もなされてきました。
    しかし、一つの問題が改善されるとまた新たな問題も出てきます。


     新たな問題ですか・・・。で、その問題とは?


     その問題とは、
      1、鮮やかなブルーや紫が発色しにくい。
      2、抜染性が悪いため、染め抜き紋の加工の際に手間がかかる。
      3、引き染の際に染ムラが出やすい。
    などがあげられます。

    私もモノ作りをしているので、
    これらの問題を踏まえながら、その場に応じて最善を尽くしています。


     技術の進歩と共に新たな問題も起こってくるのですね。
    その問題に対処できるよう、先生をはじめとする職人の方々も
    日々努力や研究を重ねていらっしゃるんですね。


     さて、次回は話の流れで「ガスヤケ」と、いきましょうか…


     はい!よろしくお願いします!!


    次回は「■15■ ガスヤケ」です。お楽しみに!


    大宮華紋森本(染色補正森本)

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    ■13■ カビ予防について

    • 2010.08.23 Monday
    • 07:00
    JUGEMテーマ:着物 きもの

     

     では、カビ予防についてお話しましょう。

    着物にはカビの発生しすい箇所や染めがあります。

    特に注意が必要なのは、糊気の多く含んだ箇所、胡粉(白場)などの顔料や刺繍部分。

    また黒留袖や喪服、泥染め大島(濃い色)などが挙げられます。

    そして環境です。つまり地域や住宅事情などが大いに影響します。

    そこで適切な管理が必要になってくるのです。


    住宅事情は仕方ないとしても、環境面での工夫や
    管理面での注意でカビを防御することはできます。

    つまり我々人間にとって心地良い環境に着物も置いてやれば良いのです。
    人が住んでいない家の傷みが早く進むのと同じことですね。


    一番良くないのは密室などに長期間放っておくこと。
    湿気が抜けないのが一番危険なのです。
    新築マンションなどは要注意ですね。




     では対策です。
    予防策として昔から「年に2度の虫干し」と言われていますね。
    これが上手くできていれば問題がないのですが、
    私のところにはカビの直しがどんどん持ち込まれてきます。
    皆さん、つい忘れてしまっていたり、間違ったことをされているのですね。

    一番簡単なのは、乾燥した日にタンスなどの扉や引き出しを開けておくことです。
    そう、泥棒に入られたようにです。(笑)

    要は、
    引き出しやたとう紙の中の空気を動かしてやることが大切なのです。
    扇風機で風を送ったり、湿気を取るためのエアコンは最適ですね。




     因みに私の作品の着物などは、工房内のタンスに保管しています。
    タンスといっても実際は棚なのですが…

    その棚は1975年頃に別注で作らせたもので、絶えず空気が流れる構造
    決して密封状態ではありません

    これまで、カビやその他の変色は一切ありません。
    つまり私の着物も私と同じ空間で過ごしているのです。
    人間にとって心地よい環境は着物にも良いということですね。



     着物は箪笥の肥やしにして仕舞いっ放しではいけないということですね。
    箪笥の中で大事に大事に眠らされていることほど、着物にとってはよくない。
    着る機会を沢山作って風を通し、着物と共存できればカビなんて発生しない訳ですね。



     そうです!その通り。
    それから、もう1つ注意していただきたいのが、
    虫干しの失敗例。
    紫外線による退色です。

    窓からの太陽光線は要注意!!

    ”ハンガーにかけた時のシワの形のまま、黄色く変色してしまった着物”
    私のもとへよく持ち込まれます。紫外線によるヤケです。
    そうならないために、虫干しにもテクニックが必要なのです。

    結論は
    風に当てて、光に当てないということです。
    室内の蛍光灯からも紫外線は出ていますから注意してくださいね!


    その点、市販されている一般的なLEDのほとんどは紫外線を出さないので大丈夫ですよ。



     紫外線による退色・・・。
    直射日光がいけないことは知っていましたが、蛍光灯もよくないのですね。

    LEDが大丈夫というのは安心しました!

    家の照明はLDEです!


    虫干しは、太陽光の当たらない風通しのよい部屋を選ぶ。
    お天気や住宅事情などで思うようにいかない場合は、
    締め切った部屋でエアコンの風を当てるのも良いわけですね!
    除湿機+扇風機なんかも良さそうですね。

     

     

     

    次回は「■14■ 紫外線」です。お楽しみに!


     大宮華紋森本(染色補正森本)

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    『美しいキモノ 2010年 秋号』 に掲載されました!

    • 2010.08.20 Friday
    • 10:01
    JUGEMテーマ:着物 きもの

    美しいキモノ 2010年 秋号  別冊付録「【保存版】きものイエローページ」 

     本日発売のアシェット婦人画報社『美しいキモノ 2010年 秋号(233号)
    このブログの講師
    Dr.景先生の工房「(有)染色補正森本」が紹介されました!
    とともに、このブログ
    『Dr.景のきものメンテナンスQ&A』も、
    「きものケアの知識を楽しく学べます」とご紹介いただきました!


    掲載は、別冊付録「【保存版】きものイエローページ」内の「お薦めの悉皆店リスト」P18です。

    大宮華紋森本(染色補正森本)

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    ■12■ カビは直るの?

    • 2010.08.16 Monday
    • 07:00
    JUGEMテーマ:着物 きもの


     先生!早速ですが質問です。
    着物に出たカビは取れるのですか?


     はい、では今日はカビについて話しましょう。

    「着物に出たカビは取れるのですか?」の答えですが、
    これはカビの発生初期からの進み具合、つまり程度により様々に変わってきます。

    まず、初期段階では白く粉がふいたように胞子が出ます。
    特に黒や濃い色は目立ちますから発見しやすいですね。
    この段階なら、ご家庭でも、乾いた布で叩けば表面は落ちてしまいます。
    しかし見えなくなるのはあくまで表面だけで、再発するのは時間の問題です。

    やはり、着物専門店に「カビ落とし」として依頼しましょう。


     生地を叩いて、白い胞子が落ちたからといって、カビそのものが落ちた訳ではないのですね。
    ちゃんと処理をしてもらわないと、また同じようにカビが出現する訳だぁ・・・。



     次に年数が経ってカビが変色したものの場合。
    変色は黄ばみから茶色、やがては黒くなります。
    この場合ももちろん、我々専門家が手をかけないと駄目なのですが、
    生地も弱っているため、変色が進んだものや広範囲のものは直らない場合もあります。

    直り具合や費用の点など、最初によく話を詰めておきましょう。


     カビが進んでしまったものは生地も弱くなるのですね。
    どの程度まで直せるのか、また費用のことなど
    お店に持ち込んだ際、よくお話を聞いて確認しておかなければいけませんね。
    仕上がってから「こんなつもりじゃなかった!」では、後味悪いですもんね・・・。

     先生!よく古物の胴裏や表地の柄の白い部分(胡粉場・ごふんば)など、
    茶色いカビの跡が点々と出ているのを目にすることがありますが、
    このような場所はカビが出やすいのですか?



     そうです。糊気の多い部分はどうしてもカビが出やすいですね。
    友禅の胡粉場(白場)も同様、カビが出やすいです。
    しかし、白場なので漂白も簡単だし、仕上げに胡粉を彩色すれば生地の強化にもなりますよ。
    胡粉場をお直しして白くなれば、見違えるように綺麗になります。

    また、古い時代の胴裏は増量のため、多量の糊が含まれています。
    着物を解いて漂白洗いすれば綺麗になります。糊気も落ちるので今後は大丈夫だと思いますよ。
    しかし、費用のことを考えれば裏地は新しいものに取り替えた方が気持ちが良いかも知れませんね。


     そうですね。
    私も胴裏は新しい物に取り替えた方が、風合いも良く気持ちがいいように思いますね。


     小夏さん、カビは発生してからよりも、未然に防ぐことを心がけなければいけませんよ。


     はい!よく言う「虫干し」ですね! 


     はい、その通り!
    では次回はカビ予防についてお話しましょう。


    次回は「■13■ カビ予防について」です。お楽しみに!

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    ■11■ 汗はドライクリーニングでは落ちない

    • 2010.08.09 Monday
    • 00:56
    JUGEMテーマ:着物 きもの
     

     さて、小夏さんは汗をよくかく方ですか?


     そうですね・・・。
    かくことはかきますが、少なめのような気もします。
    汗をかかないのもよくないと聞きますので改善したいのですが。



     私は汗かきですね。
    特に脇からの汗、冬寒くても出ています。
    ジャケット類の上着でも裏側には汗がたっぷりつきます。
    ですから汗に関しては人より神経質かも。
    外出着は帰宅後、自室に戻るまでに工房で必ず汗抜きをします。
    夜中に呑んで帰ってきてもこれだけは欠かさなかったですね。
    (今はすっかりおとなしいですが。汗)


     うわぁ、代謝がいいのですね。羨ましいです。
    (自分で汗抜きできるのも羨ましいです〜。笑)


     では汗について話を進めましょう。
    汗は乾けば見えなくなる、というところに落とし穴があるのです。
    何年も放置すれば必ず黄色く変色してきます。



     そうですよね・・・。
    汗は後々現れる。洋服でも変色して気付くことがありますね。


     そう。ですからそうならないよう、
    シーズンごとに収納前の汗抜きを怠らないようにしていただきたいですね。

    しかし丸洗い(ドライ)をしておけば安心というものではありません。
    汗は水性のシミですから、ベンジンやドライクリーニングなどの溶剤では落ちないのです。


     やはり、汗には水ですか?


     そうです。汗を落とすにはその部分の水洗いが必要です。
    ご家庭では生地がスレたり、染を傷める危険性が大きいので、
    着物専門店に依頼するのが安心です。

    その場合必ず「汗抜き」と指示すること!
    お店での落とし方なども尋ねておくと安心につながるかもしれませんね。


     はい!お店に依頼する際には「汗抜き」とお願いすればいいのですね!


     汗ジミについてもう少し詳しくお話しておきましょう。
    汗は流れるものだけではありません。
    見えなくとも体内から蒸気として出ています。

    そして手のひらからの汗。
    手のひらでよく触る箇所は、年数が経って変色してから初めて発覚します。
    手の汗は自覚が少ないだけに、たちが悪いかもしれませんね。

    袖口の前襟元上前のお端折り、手を置く上前の膝上あたりに多く見られます。

    特に濃い色の着物の場合は変色がよく目立ちますが、
    汗の成分を落とし、色かけ(補正)でその多くは目立たなくなります。


     あ、わかります。
    その部分は、ふと気付くとに変色が出てたりしますよね。
    やはり無意識のうちに手で触っているからなのですね。


     また汗で濡れることにより、スレを起こすこともよくあります。
    特に背中の帯下や、胸の脇部分
    着用中は体温も相まってスレやすくなるのです。



     あ、そうですね!
    絹は水分を含むとスレやすくなるんでしたね。
    背中や脇は汗をかきやすい上に帯でスレやすいのですね。



     そうです。
    そして汗抜きの依頼をされる方の中には、
    「汗の塩気で白くなりました。落としてください。」
    と、このようなことをおっしゃる方もおられます。
    しかし、その多くはスレて生地が毛羽状になり、色落ちも見られます。
    堅牢度の弱い染や濃い色の場合、着物の色が帯に、
    また帯の色が着物につくことがあるのです。

    直すのは我々染色補正業者なのですが、
    着物を着用される皆さんにも、汗に対して何らかの対策が必要なのではないかと思います。


     乾いた汗に塩が吹いて白くなったのかと思いきや、
    スレで白く見えていた・・・なんてこともある訳ですね。
    汗での色落ち、色移りも時々耳にしますね・・・。

    汗は厄介なのですね。
    着物を着る際の汗対策、着物関連のコミュニティでも話題に上っているのを見たことがあります。
    実際に着物を着る私たち自身でも、知恵を出し合っていろいろ考える必要がありますね。


    次回は「■12■ カビは直るの?」です。お楽しみに!


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    ■10■ シミに熱は禁物

    • 2010.08.02 Monday
    • 00:04
    JUGEMテーマ:着物 きもの


      さて小夏さん、これまでの話は理解していただけましたね?
    では、シミに熱を与えてはいけないことを知っていましたか?


     はい!毎回とても勉強させて頂いています。
    熱を与えてはいけないことは知っています。
    シミが落ちなくなってしまうのですよね?


     そうです。シミが落ちにくくなってしまうのです。
    特に動物性蛋白は熱で固まり、定着してしまいます。
    よく、ご家庭で血液をお湯で洗って落ちにくくなってしまってから、
    シミ落とし業者に持ち込まれることがあります。


     あ。温度の高いお湯ではなく、水なら良いのですね?


     その通り! もちろん我々は水と洗剤で処理をするわけですが、
    ご家庭では触ってほしくないのです。

    小夏さん、小夏さんもこんなことを考えたりしたことありませんか?
    「少しでもシミを薄くしておけば、シミ落としの費用が安くなるんじゃないか。」なんて。


     あ・・・。
    シミを薄くした方が落としやすくなるような気はしますねぇ・・・。



     それ、全くの間違いですよ。

    なぜか?

    それは、「■6■ 水性のシミの落とし方」でも説明しましたが、
    水性のシミは水によって溶けはじめたところを、繊維に染み込むまでのタイミングで
    一気に落とさなければなりません。

    私達にしてみれば、ご家庭で処理されシミが中途半端に残った状態で渡される方が
    作業に手間がかかる
    のです。また直りも悪い結果になります。
    この上にスレを起こしていたらもっと始末が悪いです。

    我々プロが「何も触らないでください」というのは、こういうことなのです。


     なるほど。
    シミがついたら余計なことはしない方がいいのですね。
    やり方がまずいと生地自体も悪くして、その上シミそのものも落としにくくなってしまうのですね。
    そして手間がかかる分、お代金も余計にかかってしまう・・・?


     そういうことです。
    では熱の話に戻しましょう。

    染物の染料を発色・定着させるための「蒸し」という工程があります。
    約100度の蒸気で20〜50分間蒸すのです。
    また友禅染の胡粉場(白場)などに、牛乳から作られた蛋白質「カゼイン」という、
    水溶液を接着剤として使います。
    分かりますね?
    動物性蛋白に熱を与えることで、顔料や染料を強く固めるということなのです。


     あ!シミに熱を与えるのは、それと同じ作用なのですね!!
    それでシミも定着して落ちなくなってしまう訳か。



     小夏さん、着用後のシワ伸ばしにアイロンをかけることがあるでしょう?
    その際は、シミの点検を十分してくださいね。
    食べ物のシミに動物性蛋白が含まれていれば要注意。

    それから、目に見えていなくても汗をかきやすく付きやすい場所にもアイロンは避けてください
    私の元にお手入れとして持ち込まれる着物は、
    見えない汗ジミも必ず汗抜きをしてからプレスをかけます。


     汗は付いたすぐは見えなくて、後々変色して出てくるので厄介ですね。
    ところで、目に見えない汗をどうやって見つけるのですか?


     汗のつく場所は殆ど限られていますし、水霧をかければくっきりと汗の型が見えてきます。


     へぇ〜。そうなんですか。


     目には見えないこの段階で処理をしておかないと、
    将来変色してから直したのでは高くつきますからね


     その通りですね。
    汗をかく季節、夏の着物は要注意ですね!


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