■28■ 着物、日常着時代のお手入れ

  • 2010.12.06 Monday
  • 22:27


JUGEMテーマ:着物 きもの
 

 ”汗抜きの大切さ”を課題にすると
「では、毎日着物で生活をしていた時代はどうしていたのですか?」
などの質問を受けることが多いです。

確かに、その都度業者に頼んでいたのでは費用の点で問題が起きるのは当然ですね。
では前回の最後に申し上げた「昔と今の着物に対する考え方の違い」から説明していきましょう。


 明治時代になって洋服が浸透してきたことによって、
着物は日常着からフォーマル着へと変わっていきます。
でも昭和の初期(戦前)までは庶民の日常はまだまだ着物でした。

その頃の庶民の日常着はウールや銘仙などが主だったようです。
衿の汗対策として掛け衿の取替えや、また衿に手ぬぐいを巻いたりもしていたようです。


 お手入れはと言いますと、
自分で解き端縫いをし、水で洗い、
あとは張り板や伸子などで張って乾かし、仕立てもしていたのです。

父の話では、「手の早い人なら一晩で着物一枚を縫い上げた」とか。
自分で解いて洗うことが前提だったので、縫い目も粗かったのでしょうね。
その頃の着物の洗いや仕立ては花嫁修業の大切な一つだったのかもしれません。

 私の幼い頃、家には洗い張り用の張り板がありました。
その頃はもう使っていなかったので、私は縁側に斜めに立てかけ、
滑り台の代わりにして遊んでいた記憶があります。

その斜めにした板に、父がケーブルカーを作って遊んでくれたこともありました。
その時はまさか着物を張る板だとは思ってもいませんでした。


 ところで絹の染物などのお手入れは、
やはり我々のようなプロ(染色補正)の手でなければなりません。

現在の染色補正業の始まりは、江戸時代中期と考えられています。
元々御所の衣装の御手入司(おていれし)から始まり、
武家や富裕な町民の絹の染物を手がけていたとされています。

現在、博物館などで見られる着物などがその類です。

庶民の着物は残念ながら残っていません。
何故なら庶民は着物として着られなくなったら、解いて布団や座布団などに作り替える。
それが傷むとハタキや雑巾として最後の最後まで使ったからです。


 ではもっと時代を遡ってみましょう。

ここに平安時代と鎌倉時代の絵巻の模写があります。
いずれも井戸端で洗濯をしていますが、
足で踏んづけて洗っているのは果たして着物なのでしょうか。

 
 クリックで大きくなります。(画像・京都染色補正組合より引用許可済)

これは「京都染色補正組合」が平成2年に出版した『染色補正の技術・技法』に掲載されたものです。

洗った着物をそのまま竿にかけている方が鎌倉時代のもので、
そこには「麻布か又は藤づる等で織った布であろう。
加工を施した高価な絹ではこうはいかない」と解説があります。

どちらにしても被せ(きせ)などは取れてしまいますね。
しかし当時の庶民の生活を考えると、それもごく自然なことだったのでしょう。
今とは違い、もっと気楽に着ていたのは間違いありません。
※被せ(きせ)・・・縫い目に生地がわずかに被さるよう仕上げる和裁の技法。
被せがかかることにより、縫い合わせたラインが美しく仕上がり、
また、きせ分のゆとりが着用による縫い目への負担を和らげる効果もある。


 現在の着物の多くはフォーマルとして考えていますから、
仕立ても着付けも綺麗に、をモットーとします。

小夏さん、いかがでしょう。
着物に対する考え方や価値観が昔と今と異なるのはこのようなことなのですね。


 そうですね。昔は日常に頻繁に着ていたのですから、
汚れに対してももっと大らかでゆるやかに捉えていたのでしょうね。
私の祖母はプロではありませんでしたが、家のものはほとんど自分で仕立てていました。
家族の着物はもちろん、座布団、布団も当たり前。その作業を見ているのが好きでした。
私は見た事がありませんでしたが、祖母の若い頃は洗い張りもやってたかもしれませんね。
今ではもう叶いませんが、そんな話も聞いてみたかったなぁ・・・。

 しかし、現代ではシミや汚れにも敏感、最近では匂いにも神経質になってきています。
家で洗えないのは分かるのですが、絹の染めの着物は魅力だし、
せめて汗の対策などあればいいのですが・・・。何か良い方法はないですか?


 それにはやはりガード加工が有効じゃないですか?


 あ。ガード加工、有効なのですね!
でも・・・ガード加工は嫌う方も多いですよね。


 確かにそうですね。
では次回は「汗染み対策にガード加工は有効」について取り上げてみましょう。


 はい。よろしくお願いします!


次回は「■29■ ガード加工で汗染み対策」です。お楽しみに!


大宮華紋森本(染色補正森本)

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