■26■ しみ抜き用霧吹き

  • 2010.11.22 Monday
  • 22:46
JUGEMテーマ:着物 きもの

 
 小夏さん、今日は我々しみ抜き職人が使う霧吹きの話をしましょうか。


 はい!よろしくお願いします。


 水を使ったしみ抜きの際、
濡れた部分と濡れていない箇所をぼかすために霧吹きが必要となってきます。
これで新たな輪ジミの付くのを防ぐのでね。

 世間には様々な器具がありますが、
我々の使うものは細かく霧が出るものでなければなりません。
 例えば水滴が粗いものや、水がぽたりと落ちるものは駄目です。
特に最近の染物は柔軟仕上げ剤を通したものも少なくありませんので、
これでは新たな水型が付いてしまいます。


 霧吹きならなんでもいいという事ではないのですね。
では、どのような霧吹きがよいのでしょう?


 私の幼い頃は、父の仕事場で職人さんが大勢並んで染み抜き作業の際、
なんと皆さん、口に直接水を含みプーっと霧を吹いていたのですよ。
 霧を吹く音や、熱いコテを水に浸けるジューッという音など、
そんな音が響き渡り子供心に「カッコいいな〜」なんて思っていました。

 もちろん、霧を吹く器具もあったのですが、直接水を口に含むことが自慢だったのでしょう。
しかし今思うと唾液も混ざるので決して綺麗とは思えませんよね。


 あははは・・・。確かにそうですね。


 私がこの仕事に就いた1965年には、主にL型霧吹きが使われていました。
これは画材用として売られたもので安価で細かい霧が出るため人気が出たのです。
薬品の瓶やコーラの瓶など、職人は皆好みの容器にL型器具を差込み使っていました。
L型霧吹き
L型霧吹き

 1970年頃の私はヤケ変色直しなどの染料を広範囲にかける場合、
刷毛だけではなく、L型霧吹きも使っていました。
結構体力もいるので、間もなくコンプレッサーを動力にエアブラシ(ハンドピース)を使い始めました。
 新しく移転した工房の隣が、たまたまそういう機械を取り扱っている商社だったというのが幸いでした。


 材料屋も商社も私の考案に驚いていましたが、
色かけの仕事が私の元に多く集まって来るのを見て、数年後にその2社が手を組み、
私が使っていたその他の色かけの用具などをセットとして、
コンプレッサーとエアブラシを売り出したのでした。
 我々の職種がエアブラシを使いだしたのはその頃からですね。
ガン3点
エアブラシ3点 用途に応じてサイズが違う
3点共当時からのもの。

 しかし道具は職人の個性が出るのか、全てが機械を使っているわけではありません。
もちろん、L型もあれはその他さまざまの霧吹きも皆さん使っておられるようです。


 おぉ!景先生の発想から新たな活用法が生まれたのですね!


 今年の夏に奈良の「大原和服専門学園」から、しみ落としの講義・実演の依頼を受けました。
機械は持ち込めないし、そこでふと思い出したのがL型霧吹きだったのです。
その時に使ったのが写真右側です。
L型霧吹き(2)
容器付きL型霧吹き (容器を前に傾けても水を吸い上げるよう縦の管を斜めに固定。)


 持ち運びに楽なようにと、ポリの小型容器にセットしてみました。
実演後、先生や大勢の生徒さんからのご要望で2日目には沢山用意して持って行きました。
 ちょっとしたコツや少々お腹に力はいりますが、皆さんけっこう楽しんでいらっしゃいました。 
講義・実演(1)  講義・実演(2)
大原和服専門学園での講義・実演の様子

 それから、写真(容器付きL型霧吹き)左は35年前まで私が使っていたL型霧吹きです。
瓶は当時のものですが、L型器具とゴム栓を新しいものに取り替えてみました。
なんだか懐かしいです。


 先生、これが手軽に霧を細かく吹ける霧吹きなのですね。
私もL型霧吹き使ってみたくなりました。


 はい。ネットで購入できるサイトもありますが、
今週半ばに小夏さんからの依頼の仕事が上がりますので、サンプルとして一緒に送りましょう。


 ありがとうございます!!


 
次回は実際に霧吹きを使ってみましょうか。


 はい!楽しみにしてます!!


次回は「■27■ 霧吹きの使い方(程度の軽い水性のシミへの対処法)」です。お楽しみに!


大宮華紋森本(染色補正森本)

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